私は海外不動産の投資家向けに簡単な情報提供のコラムに、無記名で情報提供をしています。そこから抜粋してベトナムの観光地の不動産事情から話を進めましょう。

 

ベトナム統計総局によると、2016年上半期のベトナムに入国した外国人観光客(国際観光客)は470万6324人に上り、2015年同期に比べて21.3%増加したそうです。観光客が増加することは、国としての魅力が増している表れとも言えるでしょう。日本も同様に観光客が増えています。2016年10月末の段階で初めて年間2000万人を超えたと新聞記事に出ていました。まだまだ、日本のほうが多いですが、ベトナムも外国人には訪問しやすい国になり始めています。

 

ここで簡単にベトナムの観光地の紹介をしておきましょう。ベトナムで観光スポットナンバーワンに上げられるのは、ベトナムの中部の世界遺産の町・ホイアンです。毎月満月の夜にランタン祭りが行われています。満月になる旧暦の14日、ホイアンの家々は電気が消え、提灯の明かりだけが町を照らし、地元の人たちや外国人観光客で前日から賑わいます。ホイアンは中世の貿易港として栄えた町ですので、古い趣のある街です。

 

その他にもフランス文化の香りを残すフランス式の建造物が多いホーチミン、ベトナムの古都として栄え、旧市街に趣のある古都ハノイ、シーリゾートのニャチャンにはロシア人の観光客がたくさんやってきます。新しいタイプのテーマパークも開発されています。ベトナム最後の王朝があったフエは、歴史を感じさせる街です。また宮廷料理として発展したフエ料理も有名です。海に石灰岩の奇岩が点在するハロン湾はその特異な地形から有名な観光地になっています。それらの観光地には、外国人観光客も増加の一途を辿っているようです。

 

観光ウェブサイト「トリップアドバイザー」は、「トラベラーズチョイスアワード2016」で、アジアの人気急上昇中の観光地トップ10を発表しました。その中でベトナムからは4位にベトナム南中部高原の都市ダラット、6位に西北部少数民族の町サパがランクインしました。ダラットは旧フランス植民地時代のリゾートで、自然に囲まれた美しい建物が魅力の避暑地です。日本に輸入される生花や野菜の産地としても有名です。日本人風に言えばベトナムの軽井沢とでもいえる町です。林芙美子の小説「浮雲」はこのダラットが舞台になっています。近年関心が高まっているサパは、ゴシック造りの教会や山岳トレッキングや棚田のツアーも体験できる観光地です。このように新しい観光地が世界に知られるようになっているベトナムです。

 

観光客が増加するとその地域の不動産の価値も上昇します。特にここでは、ベトナムの2大都市(ハノイ、ホーチミン市)と異なった発展をしつつある中部の都市ダナンを紹介しましょう。この地域はシーリゾートとしても有名で、ホイアンも極めて近く、ヒンズーの遺跡ミーソンや古都フエも訪問可能なことから観光都市としての発展が期待されています。

 

その反面ハノイとホーチミン市が外国企業の投資の対象として、ビジネス目的で不動産開発が進んでいます。ここでは外国人駐在員に貸すことによって投資利回りを得るために新築のマンションが続々と建設されています。ベトナムでは居住用だけでなく商業用施設も併設することで建築許可が得られることが多いため、

大都市部ではオフィステルという物件も増えています。オフィスとホテルを合わせた言葉で、宿泊もできるが、オフィスとして経済活動もできると言う意味の不動産です。

 

ダナンはビジネスというより観光の要素が強いので、特徴的なのはコンドテルという名前の物件があることです。コンドテルとは、コンドミニアムとホテルを略した言葉で、ホテル運用も可能なコンドミニアムという意味になります。たとえばリゾート地に別荘としてコンドミニアムを購入し、休暇のときに自ら利用します。ところが利用しない期間が発生しますから、その期間をホテルレンタルとして管理してもらうことで、有効活用し利益をあげることができるという発想です。このようなホテルレンタルプログラムに加入できる物件がコンドテルです。運用利回りなどはまだ実績がないのでわかりませんが、新しいタイプの不動産物件として注目されています。

 

長々とベトナムの観光地と不動産のことを述べてしまいました。前半はベトナムの不動産の魅力を伝えていますが、実は不動産はいつでも儲かるとの風潮に、私なりの疑問を持っています。日本に訪れる外国人観光客の日本を訪問したときの感想から、何が大事かを考えてみましょう。

  • とにかく街がきれい・・・ごみが散らかっておらず、ありえないほどのきれいさだと言います。
  • 正確直すぎて怖い・・・電車やバスが時間通り到着するのは奇跡と思われています。
  • ものが盗まれない・・・酔いつぶれても財布もスマホも盗まれない
  • 自然や景観がきれい・・・超高層ビルもきれい、富士山や嵐山の竹林もきれい
  • 人々が礼儀正しくて親切

いい事ばかりを今回は書いてしまいますが、外国人はそのような理由があるから日本を訪れてくれるのです。

 

ベトナムの不動産投資は、底が浅い感じがします。人が増えてきているので、投資をすると儲けられそうと多くの人が考えるようになります。デベロッパーも人気があるからどんどん作ろうと言うことになります。ベトナムの人たちは全部がお金持ちではありません。しかし、利権や既得権を持った人たちは日本人では考えられないくらいのお金を持っている人も多くいます。その人たちが、投資用マンションを何軒も買い占めているのです。不動産は需要と供給で価格が決まってくるでしょう。観光客が増えているからと言って、その増加率よりも不動産のほうが増えたら、需給が不一致になる、余りにそれが大きく乖離するとバブルの崩壊になってしまいます。不動産を買うのではなく、観光地として魅力的にするにはどのようにしたらいいかを真剣に考える実業家のイノベーションの精神が必要だと思っています。

 

1980年後半の日本のバブル景気を経験した立場で言うと、将来にまで今のトレンドが永続的に続くことはありません。日本のバブルの時期には、東京の山の手線内の土地で、アメリカ全土が買えるというとんでもない価格になっていました。各企業は税金対策もあったのでしょうか、全国各地に保養所を購入したり、ゴッホの高額の絵画を購入した企業もありました。バブルとは実体経済と乖離して物の値段が上がっていくことです。クリスマスが近くなっていますが、あの当時若いカップルがクリスマスイブに一泊5万円も出して、高級ホテルに泊まり、フランス料理のフルコースを食すなんてことも、煽られるようにブームになっていました。今から考えたら夢幻の世界ですが、その当時はそれが当たり前のように喧伝させていました。私は経済的に小心な性格ですので、一度も行ったことはありません。そのときは当たり前のように思われることでも、ちょっと時間が過ぎれば現実にあったとは思われないことがたくさんあるものです。

 

何に価値があるかを考えなくて、時代の雰囲気に流されるならば、同じことはベトナムでの必ず起こるのではと思います。日本に比べてもベトナムの富裕層の収益は、土地を所有している人の売却益やレンタル料から得られるものがほとんどです。そして表に出ない所得には税を払わない風習が一般的です。きちんと税金を払って、その部分は社会インフラの整備や貧困層の教育などの支援にまわしていく再分配機能があることが健全な社会だと思います。ただ日本に比べて、ベトナムはそのようにはなっていないことが本当の成長を阻害する要因だと考えています。

 

ところで、IR推進法案(カジノ法案)が可決しました。統合型リゾート施設の中に今まで日本では違法であったカジノを設置すると言うことです。これについては、いろいろの意見があるので、私なりに意見を言うことは控えようとは思いますが、外国人観光客が何を日本に求めているかをしっかり考えてみることは必要だと思います。私なんかはギャンブル依存症っぽくなったこともないので、

カジノといってもやりたいとの気持ちにはなりませんので、これについてはよくわからないと言うのが実感です。ただお金が儲かるから取り入れようとの発想だけでは寂しい感じがします。

 

先日、大阪市がホーチミン市と姉妹都市になっていることもあり、大阪市環境局の方がベトナムを訪問していました。たまたま協力をする機会があったのですが、ごみの分別収集や生ごみの再利用などの協力をしていることを聞きました。また、低炭素社会実現のための共同取り組みとして、二国間クレジット制度(JCM)の取り扱いをしていると聞きました。ベトナムにある日本企業の工場などで、CO2排出削減のための、設備や機器を導入するとき、国の補助金を出す制度です。それが途上国のCO2削減に寄与したとみなされて、日本側の評価につながる制度です。

 

ごみの分別などの対応はどこでもできるとは思いますが、その仕組みは日本が

進んでいます。このような取り組みを世界に提供することは意味があると思います。この取り組みは、ゴミをきちんと捨てる精神性がもたらすことだと思いますが、きれいな街を作るためには一番大事ですね。環境対策なども、今の利益のためではなく、将来の人たちに迷惑をかけないという大事な精神性を持った課題だと思います。

 

日本は少子高齢化に向かって、急速に進んでいます。日本の将来の経済力に懸念をいだく人ともたくさんいます。ところが他の国も少子高齢化の流れがはっきりしてきました。ベトナムは今きれいな人口ピラミットですが、いずれは少子高齢化になります。10年後に1億人を超える見込みで、その後急速に高齢化が進むことを新聞で読みました。

 

その点で言えば、日本がまず社会の変化を最初に体験して、その対応力を他の国に伝えていく役割があるのだろうと思います。最初にやる人が最も価値がある人です。まさにイノベーションと言えるでしょう。今、儲かるかどうかよりも、将来にどう役に立っていくかの発想をすることがその人の幸せ感にもつながるように思います。

 

バブルのような狂乱は、瞬く間に破壊されてしまいます。それで苦しむことになる人は悪夢の出来事になるでしょう。ベトナム人の投資行動を見ていて、不動産を建てれば売れる、買えば儲かるという発想はいつか必ず崩れるものと思います。その点では、経済発展するとは思えない日本にいる方には、新しい価値観を築くチャンスがあるのではと思っています。

 

「人間万事塞翁が馬」という故事がありますが、その意味を知っていますか?

運命は不思議なもので、禍だと思えることが福に転じたり、その逆に福だと

思えることが禍になることもあると言うことです。ある出来事や変化が、どちらに転ぶかは想像できないということです。日本は将来に不安を抱えている人が多く、ベトナムは将来に希望を持っている人が多い社会です。そのこと自体、希望を持てるほうが幸せではありますが、バブル経済になってもしかたありません。縮減する社会が必ずしも不幸な社会ではなく、幸せに感じることがあると思うのが私の最近の考えです。

 

以上