今回は以前ベトナムで報じられたユニークな話題を提供します。2013年にベトナムでなぞの巨大生物を地中で発見とのニュースがありました。死んだ生物ですが、化石や骨ではありません。体型が腐敗せずにそのまま発見されています。インターネットで「ベトナム巨大生物」と検索すると画像や映像も出てきます。体長10m以上のなぞの生物とはなんとも不思議で興味を引く話です。映像をしばらく見ると背の小さなベトナム人たちが大勢その生物を運ぼうとしているので、その生物の大きさは際立っていました。最初はなぞめいた生物に不気味さを感じるのですが、しばらく見ているとシロナガスクジラに見えてきます。鯨が地中にいるはずはないのにと思いつつ、なぜベトナムの地中に鯨がいるのかを確かめるためネットを検索してみました。

ベトナムでは次のような宗教儀式があると書かれていました。「ベトナム中部のクアンガイ省リーソン島の漁民が、漁の最中に死んだ鯨を発見しました。3日間かけて曳航し、地元漁民の方法で儀式を行い埋葬しました。地元では鯨は神であると信じられているのです。埋葬された鯨は、数年後に地元民が掘り返し、その骨格を島内の鯨崇拝のための寺院に再度埋葬される」と書いてありました。そのような伝統は、リゾートで有名なニャチャンにもあります。鯨は漁民にとって神様なのです。その儀式を知らない漁民以外の人たちが掘り出してしまったのです。日本人は鯨を知り尽くし、食用や資源として利用をしてきましたが、ベトナム人は神として信仰をしていたようです。鯨信仰は、中国やカンボジアなどの近隣国ではありません。ベトナム人の大切な海洋文化の一つです。日本は国全体が海に囲まれていますが、ベトナムは国の半分が海に接しています。その点でも海とともに生きる国民と言えます。鯨を神と崇めるのも判るような気がします。

一方陸上の生物も日本では動物園以外では見られない生物が自然の中にいます。トラやゾウです。ゾウはタイ、ラオスなどにも生息しており、ベトナムも中部高原などに生息しているようです。ゾウはまだまだ生存しているようですが、トラは絶滅の危機に瀕しているらしいです。実はトラを密猟する人がいるというのです。トラの毛皮、骨、肉が高く売れるために、まだまだ貧しいベトナムでは密猟をする人がいるようです。私も一度だけですが、ベトナムの貴重だという焼酎を飲ませていただいたことがあります。飲んだ後でどうして貴重かと聞いたところ、「Tiger Bone」と言う言葉がありました。トラの骨が入っているらしいのです。

トラやゾウなどの野生動物の減少は、人間による密猟も大きな原因ですが、自然環境の変化も要因と考えられています。アジアのユニコーンと言われた希少動物サオラがベトナムではわずかに生息しています。この動物はウシ科の哺乳類で、オス、メスともにそうとう長くとがった2本の角を持つことからアジアのユニコーンと呼ばれています。一見シカかヤギのように見えます。それも2013年9月のニュースですが、15年ぶりに生きている姿が撮影されたそうです。世界自然保護基金(WWF)によると、世界中でここ10年に撮影された野生生物の写真の中で最も重要と評価されています。ベトナムでも環境変化により、希少生物の絶滅の危機が伝えられています。

ベトナム南部では常時真夏日程度の気温で一年中推移しますが、日本は四季があるので夏は猛暑だったり冷夏だったり、逆に冬が暖冬だったり寒冬だったり、最近は異常気象といわれることが多いようですね。先日も九州で大雨があり、大変な被害があったと聞いています。ベトナムでも異常気象といわれることはあるのですが、変化は日本のほうが大きいように感じます。大雨による被害はやはり日本周辺の海域が亜熱帯化しているからだと思います。異常気象のことを考えるとき地球の温暖化をどのように防ぐのかが鍵になると思います。

ところがアメリカのドナルド・トランプ大統領が、「パリ協定を離脱」と発言して、物議をかもしました。アメリカの財界首脳からも批判が集まっています。では、パリ協定とは何でしょうか?それは京都議定書に代わる新しい地球温暖化対策の国際ルールです。2015年12月に採択、2016年11月に発効しました。産業革命前からの気温上昇を2度より十分低く抑えることが目標です。すべての国がCo2削減目標を作り、目標達成義務はありませんが、達成に向けた国内対策を取る必要があるという国際間の約束事です。厳しい条件もない約束事ですが、アメリカは参加しないことを表明しました。

ではなぜトランプ大統領は、多くの批判を浴びながらもパリ協定から離脱しようとするのでしょうか?それはかねがね主張をしてきた「アメリカ・ファースト」を優先するためです。国際社会の懸念よりも、自分たちの経済利益を優先することを明確にするためです。 トランプ大統領にしてみれば、環境保護派の運動は、「地球に優しい」ふりをした社会主義運動にほかならないと思っているようでもあります。一方でトランプ大統領を支持する労働者たちは、どこかの遠い国の海面上昇や気候変動よりも、自分たちの仕事や生活スタイルのことを心配しているのです。その自国優先の思想が、国際間の連携を停滞させています。特に先進国では、経済成長の鈍化の中で自国優先のナショナリズムが増えつつあります。

かつての繁栄が再び取り戻せるかのような思想がはびこる中で、地球とはいったいどんな歴史をだどったのかを知ることが、考え方を変えるチャンスになるように思います。私はこの間、興味を持てることをネットサーフィンをしたりして調べていましたが、地球の主人公は人間ではなく、地球そのものであることを感じました。長い歴史の過程では地球自体が生き物で、生命を絶滅させたり、繁栄させたりを繰り返してきました。人間が神の領域まで到達することは不可能であることを感じました。

地球は放射性元素による隕石の年代測定により、誕生してから約46億年経過していると推定されています。ガス状の原始太陽系星雲の中で、固定粒子が集まって、無数の微惑星となり、それが合体、衝突を繰り返し、原始地球が誕生しました。その過程で、マントルを地球内部に溜め込んでいきました。そのマントルが息づいているおかげで、地球は生命を育む星になっています。その反面大災害も引き起こします。マントルから水蒸気を吐き出し、それが凍って雪や雨になりました。その結果として、海ができました。地球とは、水が液体で存在できる星なのです。たしかに、水が豊富にあるといわれる惑星もあるようです。たとえば金星です。しかし、金星は太陽に近すぎて気温が高く、水は水蒸気になっています。このような状態を暴走温室効果と呼ぶようです。地球と金星はそっくりな惑星ですが、大気の状態はぜんぜん違います。ほかに天王星や海王星にも水はあります。しかしこちらは、太陽から遠すぎるため、水は常に氷の状態で地表をおおっているだけです。太陽からちょうどよい距離(きょり)にあり、大部分の水が液体で存在できることが、地球が生命の宝庫になった理由です。
地球の表面の約71%は海でおおわれています。海には地球上にある水の約94%がたくわえられています(そのほかは、川の水や地下水、雲、氷河など)。地球の内部にあった水は、地球が生まれたときに水蒸気となって出てきて、それが冷えて雲をつくりました。この雲は、地表が冷えるにつれ、雨となって降り注ぎました。このときの海水は強い酸性でしたが、岩に含まれるカルシウムなどを溶かすことで中和(ちゅうわ)されていきました。このため、海水には、80種類もの元素が溶けています。海中の元素は、次第に結びつき、アミノ酸や糖となり、やがてタンパク質や核酸ができたと考えられています。これが遺伝子の元となり、生命が誕生し、人間にまで進化をとげたのです。だから私たち生命は、すべて海から誕生した「海の子」といっていい存在です。

生物が現れたころの地球では、最初の生物としてバクテリアが存在していました。光合成をし酸素を放出するバクテリア、メタンガスを放出し地球の温室効果を実現するバクテリアなどです。また、動物の起源になり酸素を消費するバクテリアも存在しました。これはあくまでも仮説であり、定説とまではいえませんが、光合成するバクテリアが急激に増えたことが原因で、メタンガスを排出するバクテリアが急激に減少したために、寒冷化がとまらなくなったとの説があります。一旦寒冷化が進み始めると、ある時点から速度を上げて寒冷化します。そして6~8億年前に全球凍結(Snow Ball Earth)と言われる時期があったようです。全球凍結の状態ですから、多くバクテリアは死滅しました。ところがその凍結のときに単細胞ではなく、コラーゲンを使って細胞が結びついた生物(エディアカラ生物群)が生き残り、全球凍結後の地球で、カンブリア紀という生物が大量にうまれ、カンブリア爆発とも言われる時代を迎えます。サンゴ、三葉虫、オウムガイなどを含めて、今の生物の元となる種類が現れたのです。

その後、地球ではいくつかの要因で大量絶滅を繰り返しました。三葉虫やオウムガイなど生物種の85%が絶滅したのがオルドビス紀末です。この原因は超新星爆発によるガンマ線バーストの影響だそうです。私もこの言葉はよくわかりませんが、新星の爆発のときに飛び出す放射能と言うのがわかりやすいかもしれません。生物は一瞬にして死滅してしまうように思えます。

その後、デボン紀後期には氷河の形成、海の減少で生物種の82%が絶滅。そして最大の絶滅が起こったのは、ベルム紀末に巨大なマントル上昇のスーパーブルームにより、特にシベリアを中心とした一帯で、激しい火山爆発が続いたことが原因でした。その影響で生物種の95%が絶滅しました。巨大で連鎖的な噴火は、地球全体に影響を与えたのです。そのことをあらわすのが、地層に現れる境界線(P-T境界)です。この境界の下の地層にはサンゴからできた石灰岩があるのですが、その上の地層からはしばらくはサンゴの化石が見つかりません。絶滅の原因は判っていませんが、酸欠が有力視されています。火山活動により大量の二酸化炭素、メタンが大気中に放出されたことによる酸欠です。これにより生物が窒息してしまったと考えられるようです。 その後、三畳紀末には超大陸パンゲアの形成や地殻変動の影響で生物の生活環境が激変して、アンモナイトや魚竜など生物種の76%が絶滅したこともありました。

大量絶滅の最後に取り上げるのが、恐竜が絶滅の原因です。定説化しているのは、メキシコ湾あるいはユカタン半島に落下した巨大隕石の影響で環境変化が起こり、生物種の70%が絶滅したといいます。巨大隕石により地中から衝突の反動で巻き上げられた物質(イリジウムなどの有害物質)が全世界を覆い、有毒な雨が降り、気温や環境が激変しました。その時の様子を地層は伝えています。隕石がもたらしたと思われるイリジウムの地層が薄くあり、境界線(K-T境界)を作りました。K-T境界より上の地層からは、恐竜の化石が見つからなくなったことから、恐竜絶滅の原因が隕石と考えられるようになりました。

多細胞生物が現れたと推定される5億年ほど前から、現在まで生物の大量絶滅は少なくとも5回ありました。当然ですが人類が現れる前のことです。全球凍結前を入れると、ある生物が特別に繁殖したこと、火山活動、大陸移動など地球内部の変化、新星爆発や巨大隕石の影響など意外と小さなことによって、極端に変わってしまいました。小さな変化であっても蓄積された影響は、多くの生物を死滅させるのです。もしこのまま人間の大量生産の経済活動を続けたら、100年後地球の気温が4%上がることが予想されています。それは世界にどんな影響を与えるのでしょうか?

気温上昇で考えられるリスクをまとめてみます。

1、高潮や沿岸部の洪水、海面上昇による健康障害、生計崩壊のリスク

2、大都市部への内水氾濫による人々の健康障害、生計崩壊のリスク

3、極端な気象現象によるインフラ機能の停止

4、熱波による死亡や疾病

5、気温上昇や干ばつによる食料不足や食糧安全保障の問題

6、水資源不足と農業生産減少

7、陸域や淡水の生態系。生物多様性がもたらす、さまざまなサービスの減少

などが考えられますが、1~2度程度の上昇の場合、暑さや洪水など異常気象の影響が現れ始め、マラリアなどの熱帯性の病気が急速に増加するようです。地球の環境変化は、着実に変化の傾向を現しています。

そして、4度上昇した場合は、多くの種の絶滅リスク、世界の食糧生産が危険にさらされるリスクが到来するようです。まさか、6度目の大量絶滅時代の到来にはならないとは思いますが、あまりにも自分勝手な振る舞いでは、そんなことも避けられなくなるかもしれません。私は「アメリカ第一主義」のように自分さえ、人間さえ、あるいはお金さえあればよいという発想がはびこっている社会は、リスクが増大するように思います。お金があっても、健康や安らぎの環境や人とのつながり、愛情がないと幸せにはなれないことを知るべきだと思います。

地球環境の保全は、何よりも生命が続くための大前提です。どんな生物であっても地球に生かされているのであって、地球を支配することはできません。高度経済成長期のようなみんなが経済的に豊かになることを突き進めれば、地球あるいは地球で共存している他の種を傷つけることになります。人間至上主義、経済至上主義は、地球の中で人間が神になった考え方です。自然や災いに苦しめられても「八百万の神」を信じる謙虚さが必要な気がする今日この頃です。昔とった杵柄がある人は、若い人に何かを伝えていくことが大事です。たとえば元プロ野球選手が高校野球の監督になるようなことは良いことだと思います。一瞬の栄華を求める生き方ではなく、何かを伝えて誰かに継承していくことが人生の価値ではないかと思います。

以上