日本にも外国人は多くなっていると聞きますが、ベトナム・ホーチミン市の中心部に居るとベトナム人以外の外国人がいかに多いかを感じます。最近見たベトナムの日本人向けニュースによると、ベトナムに在留する日本人が17,266人となり、前年比6.9%増、国別の順位では17位から16位に上昇したことを伝えていました。在外公館別ではホーチミン総領事館の登録が前年比7.2%増の9,464人、ハノイの大使館が6.6%増の7,802人となっています。それ以外の地域は、出張者や登録していない人も多数いることから、在留登録者の倍近くの日本人が常時ベトナムにいると考えてもいいと思います。ベトナムにいる日本人が、過去最高になっているようではありますが、まだまだ16位とのことで他の国が断然多いようです。Viet-Jo Newsに出ていた記事から引用しますが、国・地域別のトップ5は、次の通りです。

1位:米国 (426,206人 前年比1.1%増)

2位:中国 (124,162人 前年比▲3.1%減)

3位:オーストラリア (97,223人 前年比5.0%増)

4位:タイ (72,754人 前年比3.4%増)

5位:カナダ (70,025人 前年比▲0.2%減)

 続いて韓国、台湾、ロシアなどが続くと思いますが、アメリカが圧倒的に多いことにも驚かされますが、日本に比べてオーストラリア、カナダ人が多いことも不思議です。それらの国の人たちが日本よりベトナムを選んでいる何らかの理由がありそうです。ベトナムの方が可能性を感じるからでしょうか?

 逆に日本に在留する外国人も年々増加していることは皆さんが実感していることでしょう。労働力が不足している日本では、外国人労働者をあてにせざるを得なくなっています。私が目にしている統計は2015年末に法務省が発表したものですが、以下のような国別の順番になっています。

1位:中国 (665,847人 構成比 29.5%、前年比1.7%増)

2位:韓国 (457,772人 構成比 20.5% 前年比▲1.7%減)

3位:フィリピン (229,595人 構成比10.3% 前年比5.5%増)

4位:ブラジル (173,437人 構成比7.8% 前年比▲1.1%減)

5位:ベトナム (146,956人 構成比6.6% 前年比47.2%増)

6位:ネパール (54,775人 構成比2.5% 前年比29.4%増)

7位:米国 (52,271人 構成比2.3% 前年比2.0%増)

8位:台湾 (48,723人 構成比2.2% 前年比21.2%増)

9位:ペルー (47,721人 構成比2.1% 前年比▲0.5%減)

10位:タイ (45,379人 構成比2.2% 前年比5.3%増)

その他  (309,713人 構成比13.9%前年比9.1%増)

 近年、日本に在留する外国人の中で、ベトナム人とネパール人が急増していることが分かります。日本は労働者が不足していますから、労働者を集めることが産業界の最大の課題になっています。そのための方法として、技能実習生として派遣される実態は低賃金労働者、あるいは語学留学生として渡航している外国人によって労働力を確保しています。留学生といいながら、飲食店やコンビニでアルバイトで生計を立ており、留学は隠れ蓑です。日本語学校が実際は職業斡旋所になっています。比較的貧しく、簡単に日本に派遣しやすいベトナム人やネパール人が増えているということでしょう。日本側の建前で、実習生、留学生との名目で、不法労働、過酷労働の温床になっている労働力の確保は、日本側に責任がある問題だと思います。

 それらの労働者を集めることに変化の兆しがあります。今までは日本側が働きたい外国人を「受け入れる」仕組みを用意するだけだったのですが、最近は「来てもらう」必要が出てきました。来てもらうことが出来なくなりつつあるということです。ベトナムでは大都市部であるホーチミン市やハノイ市その近郊では、外資系企業の進出が増えており、そこそこの給料で雇用されるため、日本に行きたいと考える若者が減りつつあります。そこで実習生や留学生のブローカーたちは、地方に住む若者に狙いを定めます。地方の若者が現実をあまり知らされていませんので、信じられないような給料を得られ、親や親族たちに孝行が出来ると信じて日本行きに応募します。実習生の親たちが、日本に行くために高額の保証金を出している場合も少なくありません。結果として、想定した給与が受け取れない場合は、借金をした保証金が重くのしかかります。それが失踪の真相です。

 純真で無知なベトナム人の若者たちが、日本に連れて行かれて、日本に絶望して帰って来る人もいます。豊かになり始めているベトナム社会にとって、一方的に日本のためだけに不法労働、過酷労働をさせられるなら、希望する人は減るでしょう。日本人が嫌がる仕事を外国人にやらせて、その場を凌ぐとしたら、その様な事業は、近い将来行き詰ると考えられます。

 そのことを考えながら、私はこの619日に依頼されている逗子開成高校の修学旅行生に対して、セミナーの資料作成をしました。ここ数年、同様に依頼を受けていますが、毎年考えるのは海外にいて日本がどう見えるかです。日本にしかいない人に日本はこう見えることを伝えたいと思っています。

 逗子開成高校は古く創立された学校です。神奈川県下では最も旧い男子高校で、完全中高一貫校です。1910年に12人の生徒が七里ガ浜沖で遭難して亡くなったボート事故は、映画化もされています。その鎮魂歌「真白き富士の根」は知っている人も多いでしょう。この学校の主な出身者にはコメディアンの谷啓、X Japanのギタリストで若くして急逝したHIDE(松本秀人)など異彩を放つ才能を輩出しています。その高校生にどのようなことをお話しようかと悩みながら、将来に向けて日本人や日本がどうしなければならないかをお話しすることにしました。今回はそのお話をするに当たり、日本に帰ったときに買った「未来の年表 人口減少日本でこれから起こること」河合 雅司 著講談社現代新書 を参考にして、原稿を作りました。講演日が619日なので、その内容を一部使わせていただきます。まずはその本の目次のタイトルを紹介しましょう。

人口減少時代の日本はどう進むか?

2016年 出生数は100万人を切った

2017年「おばあちゃん大国」に変化

2018年 国立大学が倒産の危機

2019年 IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ

2020年 女性の2人に1人が50歳以上に

2021年 介護離職が大量発生する

2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化する

2023年 企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる

2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ

2025年 東京都も人口減少へ

2026年 認知症患者が700万人規模に

2027年 輸血用血液が不足する

2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える

2033年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる

2035年「未婚大国」が誕生する

2039年 深刻な火葬場不足に陥る

2040年 自治体の半分が消滅の危機に

2042年 高齢者人口が約4000万人とピークに

2045年 東京都民の3人に1人が高齢者に

2050年 世界的な食糧争奪戦に巻き込まれる

2065年以降 外国人が無人の国土を占領する

 かなり悲観的な人口減少の影響が書かれています。日本の人口推移の予測は2053年に1億人を割り込み、半世紀後の2065年には8800万人、さらに100年後の2115年には5000万人と予想されています。100年前の大正7年の人口が5500万程度だったので、日本は100年かけて人口を7000万人増やしたのですが、今から100年かけて7000万人減らしていくということになります。人口を元に戻す将来が訪れます。

 ただ、人口が減ることで経済の低迷の要因になるとは限りません。高度成長したのが1955年から1970年とするならば、経済は10%程度の成長はしましたが、人口は1%程度の伸びしかありませんでした。労働力の減少を補う何かがあれば、社会が低迷するとは限りません。人がいなくても価値を生む何かを考えることはできるでしょうか?ただ、年表どおりにならないための処方箋を頭の体操として高校生に伝えようと思いました。その著作にも書かれていたことも加えましたが、私なりに発想したことも含めて、発想の転換を意識的にするために考えました。

 「高齢者」を削減

・高齢者が働ける社会、役に立つ社会、その反面、尊厳死の自由拡大

  ・高齢者の面倒は高齢者がみる。高齢者自治体・学校。

 24時間社会からの脱却

  ・日本は便利すぎる社会、外国は結構いい加減?

  ・行き過ぎたサービスはストレスの素、不便を楽しめるゆとりの社会

 非居住エリアの明確化

  ・社会インフラのコスト削減が必要(電気、水道、道路の維持はできない)

  ・国土の多目的利用(農業地域、森林地域、野生動物育成地域)

  ・たまに非居住地域のボランティア活動

 国際分業の徹底

  ・企業の「選択と集中」の国バージョン。日本の技術を日本人に教える。

  ・世界の中で日本が果たす役割(アニメ、繊細、おもてなし・・・)

  ・産業構造の転換(IoT Internet of ThingsAI Artificial Intelligence

「匠の技」を活用

 ・「大量生産・大量消費」から、「少量生産・少量販売」への発想の転換

 ・日本人の技術は、日本人に教える。事業承継、技術承継がない社会を脱皮。

 ・高付加価値の商品を生産する ・地方の特長を生かす。

 戦略的人材育成

 ・創造力のある人材、イノベーションできる人材の育成

 ・(拡大策で失敗している)医師、弁護士でない 技術系人材の育成が課題

 ・優秀な学生には教育費の無償化、海外留学の推進

 中高年の地方移住推進

 ・仲間を作るのは地方(自然と地方文化とともに暮らす=自給自足も生きがい)

 ・人生100年時代はたくさんのステージが必要(勤務は1社だけでなくなる)

 都道府県、市町村の枠組みを変える(自然共生特区、国際貿易特区)

  ・行政サービスの税金をかけられない=役所の統合

  ・都市の良さと地方の良さを組み合わせる=都市部と地方の合併

 セカンド市民制度を創設 

  ・都会と田舎に住所を持つ。半分ずつ納税

  ・田舎では農業水産業、都会ではサービス業を兼営。I oT社会が可能にする。

  ・空き家のリフォーム、有効活用

 少子高齢化対策

  ・3人以降の子どもには1000万円給付。子どもは社会の財産。

  ・お見合い制度の復権(社会が結婚へ支援する)、孤立社会からの脱出

  ・国際結婚の推進(経済のグローバル化が推進)、日本語の変化(カタカナ

   がなくなる?)

 多少無責任なところもありますが、そこまでしないとまともに財政や国土を守ることが出来ないと考える必要があります。通信技術は途方もなく進歩し、AIに任せられる労働も増えていきます。通訳翻訳機を使えば、日本語だけで外国人とコミュニケーションが出来ます。その点で言えば、日本人が持つべき能力は、長い人生を生きてきた中で、自分と相手(他者)にとって何が幸せかの指針を持つことだと思います。どこの国でも自分のことしか考えられない人は多いです。他者に気を遣える文化は、日本の優れた文化です。人口が減り始めているのは、社会が孤立化を深めているからでしょう。みんなが自己責任で生きていくのに精一杯すぎます。人を支える社会の仕組みを失い始めていることが、人口減少の原因だと思います。サルが人になりえたのは、地球環境の変化の中で、猛獣に襲われる過酷な自然の中で、コミュニケーション(言語)をとり、お互い助け合うことでしか生き抜くことが出来ない弱い種だったからです。

以上