2020.07.24

1、外国人が入国できない最近のベトナム・ビジネス事情

 東京や首都圏でのコロナ感染者が再び増加しています。世界中のコロナ禍が長引く気配が濃厚です。弊社も影響を受けており、日本企業へのベトナム進出支援、ベトナムでの企業研修などの仕事が皆無になってきています。売り上げを多少でも確保するために仕事のやり方を変えざるを得ません。

 逆転の発想をして考えるしか方法がありません。今までの仕事は、日本企業や日本人にベトナムに来てもらい、そこでサポートをするのが私の会社の役割でした。ベトナムでは新たなビザの発給を停止していることから、新規に外国人が入国できません。今までのビジネスは、ベトナムでの視察調査の支援、ベトナム進出する企業の不動産探しの支援、会社設立の認可取得、ベトナムでのインターンシップや海外研修支援が主な仕事でした。日本語のできるスタッフを採用して、日本企業の出張者に通訳の支援などをしていました。

 ところが322日からベトナムは、外国人の入国を認めなくなりました。一部人事異動などで交代しないといけない役職者、技術者の入国だけが例外的措置を取られていますが、外国人の入国がそれだけに限られています。ベトナムにいる外国人は、一旦国外に出ると再入国できません。ベトナムに滞在中の外国人はビザの発給ができないので、ビザの期限切れになるときは延長が認められています。そのようにベトナムにいる外国人以外の出入りはなくなりました。

 そんな外国人が入国できない状態では、今までのビジネスが通用しなくなりました。私の方では苦し紛れに、「ベトナム出張代行支援」と銘打ったサポートを行うようになりました。本来であれば、ベトナムに出張して商談や買い付けをする目的の方がベトナムに入れないため、弊社で代わりに行うというやり方です。そのような方は日本にいるので、以前名刺交換した方に毎月メールマガジン(ベトナム情報)を流すようになりました。

 コロナの影響はベトナムに進出している企業にも出始めています。ベトナムに進出して婦人用スーツなどを製造しているアパレルメーカーでは、9月以降の発注が相当数減少すると聞いています。そのため緊急に医療用防護服(アイソレーションガウン、素材:不織布とポリエステル100%)の製造を開始したと聞きました。すかさず販売先を見つけたら手数料をいただけることを確認すると、すぐに関係がありそうな今まで縁のあった方々にメールを出しました。そんなことを続けていると思わぬ依頼を受けることがあります。

 あまり仕事とは関係がありませんが、縁のある人から依頼があるのはうれしいものです。突然いただいたのは生まれ故郷の長野県木曽郡で印刷会社やレストランを経営し、地域のフリーペーパーを出している山田さんからの連絡です。その方は人口減少するその地域を活性化するために奮闘している方ですが、依頼された内容はフリーペーパーの8月号に「故郷へのたより」という寄稿をして欲しいというものでした。

2、「故郷へのたより」への寄稿

 記事の内容は1000字以下の内容なので、たくさんのことは書けません。思いついたことを書きましたが、自分のビジネスでコロナ禍で苦労していることを書きました。以前の投稿でも取り上げたことがある「人間万事塞翁が馬」を持ち出し、不運が幸運に転ずることもあると自分に言い聞かせながら書きました。

 私の過去を振り返っても、失敗だと思ったことが、成功の礎だったりすることがあります。私もサラリーマンを辞めたときは失敗だと思ったことがありました。それ以降もいくつも失敗したことを書きました。結果的に新しいことにチャレンジすることに繋がりました。今となれば成長にとっては環境の変化が必要なのかもしれませんので、変化できたことに感謝の気持ちもあります。

 最終章はやはり郷里のことを書かなければなりません。以下のようにつなげました。「父は上松町、母はその当時の福島町(現木曽町)の出身で、純粋に木曽の血が流れています。実際の故郷ですが、同時に悲しい記憶から人間形成の土台を築いた重要な場所です。木曽の魅力は、御嶽山や木曽駒ヶ岳、木曽川の源流など雄大な自然、中山道の宿場としての歴史の面影を残す風景、そこに暮らす人々の素朴な人情です。

 日本が高度経済成長していく中で、時代に取り残された感のある木曽ですが、それが魅力になっています。ベトナムに来て気づいたことがあります。外国人は日本人以上に、悠久の時を経た自然と歴史を好んでいることです。ベトナム人カップルは木造の古い建物の前や大自然の中で写真を撮ることを好みます。

 コロナ後の世界は今までとは変化することでしょう。密閉・密集・密接とは無縁なこの地は、禍の後に『塞翁が馬』の如く、過疎の地だからこそ訪れる人々に癒しを与え、安心をもたらす空間になることでしょう。」とまとめました。それを書いた後ですが、この地域は7月の大雨の影響で、木曽川氾濫の危険と土砂崩れの危険度合いがレベル5の特別警報賀発せられました。自然災害が明らかに多くなっていることは心配です。

 木曽のフリーぺーパーには書きませんでしたが、木曽の観光名所は中山道の宿場町の風情が残っているのが魅力です。木曽には贄川、奈良井、藪原、宮ノ越、福島、上松、須原、野尻、三留野、妻籠、馬篭という11の宿場がありました。以前は全部木曽郡にありましたが、北の贄川と奈良井は塩尻市に編入され、南の馬篭は岐阜県中津川市に越境編入されました。今観光客が多く訪れる宿場町は、北の奈良井宿と南の妻籠宿です。なぜかと言うと古い面影を多く残しているからです。古い面影が残った理由は、経済の中心ではなく近代化が遅れたからです。その地域が豊でなかったことが、建物の改築を遅らせました。そこを訪れた人が、歴史的価値があると感じたことが知られるようになると、それを知った地域の人たちが、自分たちの住まいを保存しようとの運動になって行きました。私が小学生であった昭和40年前半のことです。

 コロナの影響で人々の価値観が大きく変わるきっかけを与えるでしょう。五木寛之はこれからは「三散」の時代がやってくると言っています。分散、拡散、逃散(ちょうさん)なのだそうですが、密閉、密集、密接の三密とは反対の時代に変わるかもしれません。人口密集を分散する。情報や地域の魅力を拡散する。たまには都会から逃げ出す。人間にとってそれが幸せになるかもしれません。 桐生市も人口が減少し、商店も減ってきているかと思います。でも、今回のコロナがもたらしたものは、今までは密が便利であったけれど、今後は避けなければならないものになったことです。

3、外国人は日本観光に何を求めていたのか?

 何気なくネット上で見つけたのですが、Fujikoさんというフリーライターが書いた外国人が日本のどこに魅力感じるかというコラムを見つけました。現在は外国人の観光客を受け入れられませんが、アフターコロナではどこが人気になるかを想像することができました。外国人にインタビューをした中でFujikoさんは「日本らしさや手付かずの自然い魅力を感じる人が多かった「と述べています。

以下、インタビューに協力した外国人の声が載っています。

秋田と青森が最高!自然が豊かで人があまりいなかったから、とてもリラックスできる場所だった。(スロバキア/女性)

京都の紅葉が驚くほどきれいだったのは忘れられない。その後の川辺でのビールは、風景が美しくさらにおいしくなった。(アメリカ/男性)

自然の良さと人の暖かさがピカイチの屋久島。コンビニで弁当が売り切れてしまっていたが、おにぎりを作ってくれた店員には感激。人がとっても温かい。(イギリス/女性)

九州をぐるっと1周。自然がいっぱいで独特の文化や食べ物に満足。日本の島や九州は大好き。(マレーシア/女性)

東京からアクセスもいいのに、海も山もあるバランスのいい鎌倉が好き。(アメリカ/男性)

 一方で訪れてみたけれど好みではなかったとの場所もあったようです。多くの人は「人の多いところは苦手」と答えていたようです。外国人の観光客は東京や大阪などの大都市は訪問していると思いますが、観光客を含めて人が多く、楽しかったイメージよりは混んでいてうっとうしかったというイメージの方が多くなってしまったようです。

一方で外国人が多く訪れる観光スポットは評価が分かれるようです。

外国人に大人気の観光スポットの京都だけど、人が多いところは好きじゃない。歴史的建造物もあまり興味がないから、みんなが言うほど京都は好きじゃない」(スロバキア/女性)

秋葉原は昔のほうが良かった。今は観光客のための場所になっている。オタク文化があった以前のほうが好きだった」(アメリカ/男性)

河口湖は自然という意味ではいいけれど、人が多すぎだよね。(マレーシア/女性)

大阪は都会過ぎて独自の文化を探せなかった。でもご飯はおいしいね。(アメリカ/男性)

都会も田舎も行ってみたけど、どちらも味があってよかったわ。苦手な場所なんて一つもない。(台湾人/女性)

 これらのインタビューから見ても外国人は大都会にあこがれているわけではないようです。新興国でも中心都市は大都市が多いです。私のいるホーチミン市も登録してない居住者も含めると1000万人近くの人口を抱えています。人口増加している地球全体では、どんどん人口密集している都市が増えています。新興国では高給を貰える職場が大都市にしかないので、大都市への人口集中が加速しています。どこに行っても大都市なんかは珍しくはありません。2018年の統計から世界の大都市の人口別順位を記載しておきます。行政単位別の人口であり、都市圏の人口ではありません。先進国が人口が多いわけではありません。最近は中国、インド、アジア、アフリカの都市の人口が増えているのです。

2018年 都市別(行政単位)人口数

都市名

国名

人口数(万人)

上海

中国

2415

北京

中国

1861

ムンバイ

インド

1839

デリー

インド

1634

カラチ

パキスタン

1491

イスタンブール

トルコ

1464

コルカタ

インド

1405

ラゴス

ナイジェリア

1312

モスクワ

ロシア

1222

広州

中国

1208

そんな世界中で大都市が増えていく中で、旅行者が求めるのは便利な大都市ではないようです。特徴のある自然と特徴がある暮らしや食べ物、そして何より静かでゆったりとした空間が求められているようです。


4、コロナによって変わる新しい日常

コロナによってテレワークを実施した企業もたくさんあったようです。日本は比較的実施割合が低かったことはある記事で読みましたが、ベトナムではかなり多くの企業が実施をしました。弊社も一部従業員には在宅勤務を認めました。ただ、在宅勤務を始めた社員が在宅は不便だとの理由ですぐ戻ってきた社員もいました。

 理由は住宅環境がオフィスに比べていいわけではないことも理由だと思います。一つはネット環境が良くないことです。データを扱う仕事は在宅でもできますが、高速の受送信が必要です。地方から出てきている人が多いのですが、仲間と部屋をシェアして使っていること、クーラーがないことも影響していると思います。地方から出てきている若い社員によっては自宅より、会社の方がすごしやすいのです。この点では日本とは異なります。

 さて、このような動きは今後の会社経営にも変化を与えます。私も在宅が始まったころオフィスの賃料を下げるために在宅の継続もありかと考えた時期がありました。ただ、親会社の仕事を受けている部署があるので、その部分の家賃は親会社持ちにすることを認めてもらいました。そのお蔭で引っ越しをしなくて済みました。

 日本でも動きがあります。76日、富士通はテレワークを常態化して、オフィス面積を今後3年をかけて半減にすることを発表しました。在宅勤務補助を月額5000円支給して、通勤定期券の支給を廃止するなどをこの721日から実施します。そのような施策に伴い全席フリーアドレスのオフィスとして、主要拠点に設置するハブオフィス、会議などに使うサテライトオフィス、駅付近で営業活動等の止まり木として活用するホームアンドシェアオフィスの3形態として現状のオフィス面積の50%を削減しようというものです。このような動きは今後ほかの会社にも波及していくように思います。

 この原稿を書いている711日に読んだ記事なのですが、コロナ不況の到来で新築マンション市場は停滞しているが、一方で郊外部などの「ミニ戸建住宅」の契約は伸びていると言う記事がありました。テレワークが定着している企業では、通勤する必要がないこと都心部の部屋は手狭で在宅勤務にも不便をきたすようです。また、タワーマンションではエレベーター内を密にしないよう搭乗者を制限するなどのせいで時間がかかるなどの弊害もあると聞きます。

 ミニ戸建とは3階建ての住宅などを指すと思いますが、テレワークを始めて自宅の手狭さを感じた人が、ミニであっても自分の居場所や仕事部屋を確保できる戸建てを買うようになったとのことです。また通勤の必要がないので静かで環境のいいところが人気になっているとの話です。少し前の都心部や湾岸地帯のタワーマンション人気から、新たな変化が出ているようです。

5、アフターコロナの旅はどうなるのか?

 20204月の方につ外国人数が前年比マイナス99.9%に落ち込んだと報道されました。数字は衝撃的ですが、外国人の渡航を停止しているので当然と言えば当然の数字です。私の会社も今年の2月まではJTBHISから委託された仕事を毎月こなしていました。しかし、3月はキャンセルの連絡をいただくのみ、4月からは問い合わせが全くなくなりました。これも当然でベトナムが外国人の受け入れを停止しているからです。

 旅行業界も大変です。HISは夏のボーナスの支給を停止、JTBも冬のボーナスの支給停止を発表しました。今までお仕事をいただいていた会社なので社員の方の苦労に心が痛みます。コロナ禍中の世界は、人々の「旅をする」日常を奪ってしまいました。コロナ前の可能だった時に、人々はなぜ旅をしたのでしょうか?日常と違う世界を知りたい、日常と違うことをしたいという人間の本質的な欲求が旅という手段を選ばせたのでしょう。そして旅をすることで新しい考えが湧いてきて、変化を与えることができます。

 旅を奪われた人々が今後も旅をしないかというとそうではないと思います。ただ、旅の目的が変化するのではないでしょうか?在宅でも楽しめることはあります。しかし、在宅では手に入れられない経験や価値は必ずあります。今までは旅は旅行会社が募集した人気の場所に、たくさんの人たちが集まることが多かったと思います。自分のライフワークを実現するために旅をすることが増えるのではないでしょうか。例えばバードウォッチングに出かける、お城めぐりをする、中世の遺跡を訪ねるなど、人とは違った自分の要求を満たす旅が増えるのではないでしょうか。

 また、コロナ前に弊社が旅行会社やコンサル会社からいただいていた仕事は、学生や社会人が海外に勉強に来るためのお手伝いでした。学生の場合は大学のゼミの研究、高校の修学旅行の企業訪問のお手伝いをしていました。フィールドワークの手配などもしました。社会人の場合はインターンシップ先の手配や海外での研修手配(外国企業の社員とのディスカッションなど)をしていました。学生や若い社会人にとって、海外を知り、外国人のことを知ることが社会人として生きていくために重要だからです。教育のために海外に出ることはコロナが明ければ再開することになるでしょう。

 その中でどこが選ばれるのかとなると、今までとは変わってくると思います。キーワードは「クリーン(清潔)」と「エコロジー(自然環境)」ではないでしょうか。京都などは人気が高いですが、前述の外国人の言葉のように、人が多すぎると満足感が得られません。三密を避けることも必要になってくるでしょう。三密という言葉は、小池都知事が良く使うので日本人の日常の用語になりましたが、英語でもスリーシーズ(3Cs)という言葉を使います。三密は英語の表現は違いますが、世界中で使われる言葉になりました。Crowding (密集)  en-Closed spaces (密閉空間) Closed contact (密接) とCを使った言葉で表します。

 密よりは散、大都市よりは地方、タワーマンションよりは戸建、今までの価値観が逆の方向に動き始めています。その反面、旅もできない、外国人も受け入れることができない中で、人とのかかわりが希薄になっていく可能性があります。在宅勤務もそうですが、人との関係を持つ必要がないことを楽に感じる人は多いと思います。ただ、それに徹して他の国とは付き合わない鎖国状態や他人とは付き合わない孤立状態になることの危険性があります。社会との接点を失った人たちの悲劇的事件が発生しています。それを避けるためにも、旅のような日ごと知らない世界に触れることや知らない人に会うことが大事であると思います。人との関係を拡げる努力や知らない世界を知る努力を怠らないことは、コロナ後の世界で大事なことになる予感を持っています。

 この時期に日本政府は、日本国内の旅行に補助金を出すGOTOキャンペーンを行います。時期の問題はあるとは思いますが、旅行業界、宿泊施設、観光産業の落ち込みを何とか避けようとしているのでしょう。これらの業界の人たちの悲鳴が伝わっているのでしょう。コロナ感染第二波ともいえる事態ですので、多くの人が戸惑っているとは思いますが、何の心配もなく、人に迷惑をかけることもなく、本当の楽しさを満喫できる旅が早くできることを誰もが望んでいると思います。

以上